「新たな音楽との出会い」を目指す
ぴあ主催の新たなフェス
世代やジャンルを超越した熱狂の2日間

ぴあが創業45周年を記念し、9月9日10日の2日間に渡り、新たな野外フェス『MUSIC COMPLEX』を江東区新木場・若洲公園にて開催。計23組のアーティストを迎え、総勢2万人超の観客を熱狂させた。
その模様をレポートする。

9.9(SAT)

メインステージとなるWIND STAGEに最初に登場したのは、ゴールデンボンバーだ。「抱きしめてシュヴァルツ」の披露中、ドラムの樽美酒研二が「ぴあのために作った」という「チケットぴあ」看板の「ケッ」の部分に「ケツ」と書かれた自らのお尻をはめ込み爆笑を誘う。ギターの喜矢武豊も「インスタ映え」を目指して練乳と納豆をかけたかき氷を食べる姿を自撮りし、「今日のために始めた」というインスタに即アップ。さらに喜矢武は、「元カレ殺ス」の最中、若洲公園のシンボルである巨大風車に対抗し、白いタイツ姿ではり付けになって人間水車のパフォーマンスを披露。ボーカルの鬼龍院翔とベースの歌広場淳も、「女々しくて」を歌いながらステージを降り、観客エリアを走り回ってフェスのスタートをド派手に盛り上げた。

CAMP STAGEの先陣を切ったのは、楽器を持たないパンクバンド、BiSH。激しいビートと切ない歌声がコントラストを描く名曲「オーケストラ」に、オーディエンスも大歓声で応える。「隣の人と肩を組んで!」というメンバーの声に、この日がBiSH初体験の人たちもコアなファンと笑顔で肩を組む。

雲ひとつない空の下、WIND STAGEにandropが登場。「Prism」の演奏が始まると、CAMP STAGEから移動してきた大勢のオーディエンスが踊りながら続々と集まってくる。「僕らもぴあのように45年、そしてそれ以上続くバンドになりたいと思う」とボーカルの内澤崇仁。最後に「Yeah! Yeah! Yeah!」を披露すると、会場中にオーディエンスの温かな歌声が響きわたる。

「GO ON THE RAMPAGE」を筆頭に、CAMP STAGEで総勢16名がド迫力のダンスと歌を披露したのは、ボーカル&ダンス・パフォーマンス・グループ、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEだ。この日19歳の誕生日を迎えたメンバーの龍を始め、若さあふれる彼らのパフォーマンスに、客席からは何度も「ヤバい!」という声が上がっていた。

じりじりと気温が上昇する中、WIND STAGEに白のジャケットと黒のパンツという、ロックンロールの正装で登場したTHE BAWDIES。巨大な風車のもと、骨太な音を歌い鳴らしていく。最後に、「みなさんとぴあにラブソングを!」というROYのMCで始まった「LEMONADE」を披露。笑顔で身体を揺らす観客とともに、ぴあ45周年を温かな歌と音で祝った。

CAMP STAGEをオアシスに変えてみせたのは、超絶テクニックを誇るギタリスト、押尾コータローだ。
繊細で色鮮やかなアコースティックギターの音色が響く中、ゴールデンボンバーやベッド・インのロゴ入りタオルを手にしたロックキッズ勢もそのギターにうっとりと聴き入っていたのが壮観だった。

「僕が弾き語りのイベントに出させてもらったり、ダイちゃん(キーボードの金澤ダイスケ)もぴあの雑誌で料理連載をしていたり、今日もフードエリアにカレー(金澤とASIAN KUNG-FU GENERATION 伊地知のコラボ「フジ&アジカレー」)が売られていたり、僕らは本当にぴあにお世話になっています」。WIND STAGEに登場したフジファブリックのボーカル&ギター、山内総一郎がそう言うと、場内から拍手が沸き起こる。人気曲連発のこの日の楽曲の中でも絶品だったのが、最後に披露された「若者のすべて」。軽快で切ないそのメロディは、夏の終わりの心の奥にいつまでも心地良い余韻を残した。

「『MUSIC COMPLEX』に呼んでもらえてサンクスモニカ!」。歌謡曲の妖しいメロディを骨太なギターロックな演奏と歌で聞かせる地下セクシー・アイドル『ベッド・イン』のバブリーなキメ台詞がCAMP STAGEに響く。この日は特別ゲストとして、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔が登場。黒塗り&タキシード姿のキリショーとともに、鈴木雅之・菊池桃子の名曲「渋谷で5時」を3人で妖艶に歌い上げ、CAMP STAGEを艶やかなバブル色に染めていく。

バックヤードでもメンバー全員で和やかに士気を高めていた私立恵比寿中学は、KEYTALKの首藤義勝が手がけた「MISSION SURVIVER」、レキシの池田貴史が手がけた「なないろ」などの楽曲を連発。中でも同日出演のフジファブリックの詞曲&アレンジによるギターロック・ナンバー「お願いジーザス」では、エモーショナルな歌声とダンスを披露し、観客の心をがっちりとつかんだ。

CAMP STAGEの初日の最後を飾ったのは、ゲスの極み乙女。の川谷絵音の別プロジェクト、indigo la Endだ。「想いきり」など、憂いに満ちたメロディやシンプルなサウンドからは、ジャジーでソウルフルな香りが漂う。「ぴあ45周年おめでとうございます。ベッド・インのギター(中尊寺)は大学のサークルの先輩。でも一緒にやる勇気はなかった。それが正しかったとさっき再確認しました」という絵音のMCに、会場は爆笑の渦に包まれた。

青い照明が風車を照らすWIND STAGEに登場したのは、今年デビュー20周年を迎えたthe brilliant green。「いきなりトリでめっちゃ焦った(笑)。45周年…45年ってすごくない⁈」と、ドット柄のベージュのワンピースを着た川瀬智子が言う。デビュー曲「Bye Bye Mr.Mug」や「そのスピードで」など、メランコリックな名曲が立て続けに披露されると、『MUSIC COMPLEX』の初日は優しい余韻に包まれ、幕を閉じた。

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